2002/01/10 企業経営

住通、INAXトステムグループ傘下に ―光武・前会長「大手資本利用し新展開」 老舗不動産仲介フランチャイズチェーンの住通は、大手住宅設備メーカーのINAXトステムグループの傘下に入った。8日付でINAXトステム・ホールディングスが住通の全株式を取得、7月をメドに社名も変更する。住通はINAXトステムグループから新たに会長、社長を迎え、大手の資本やブランドを活用し、加盟店サポートを強化することで加盟店数の拡大を目指す。 住通の創業者で、会長だった光武福見氏は最高顧問に、名取友治社長は相談役となった。新会長には潮田健次郎INAXトステム・ホールディングス会長が、新社長にはINAXトステムグループのリフォーム会社、トステムホームウェルの安藤進専務が就任した。INAXトステムは住宅関連の総合サービス展開を目指しており、住通の取得により中古住宅関連の事業をカバーする。また、加盟店と連携してリフォームをはじめとする各種の住宅商品・サービスの提供を目指していく。住通とINAXトステムとの売買交渉は12月初めから本格化し、約1月で契約を締結するスピード交渉だった。株式の売買額については公表していない。なお、国際的不動産仲介ネットワーク・ERAとの提携は今後も継続する見通しである。 光武福見・前会長の話「時代の変化が非常に激しく、住通を自分の資金で支えるのは困難だと感じた。新しい仕組みに乗り出すには資金がいる。大手の力を借りないと取り残されると感じた。加盟店からも商品開発の面で本部のサポートに不満が出ていた。加盟店がどう反応するか予測がつかないが、加盟店のためになると思ってした。大手を利用しようということだ」。

東電、表参道の健保会館2百億円で売却 ―三井住友銀系のPTS開発が取得・建替 東京電力はこのほど、渋谷区内に保有していた「東京電力健保会館」(渋谷区神宮前4-25-22)を三井住友銀行グループの開発会社・PTS開発に売却した。昨年末に売買契約を結び引き渡しを終えた。売却価額は200億円を超えた模様で、坪当たり2800万円超とみられている。 東京電力健保会館は、1962年に竣工した施設で敷地面積約2300㎡、建物は地下1階地上4階建て・延床面積2700㎡の規模。東京電力はここ数年、バランスシート調整などを目的として、関東一円の社宅・変電所跡地などの未稼働土地の売却および住宅開発などを進めており、今回の売却もその一環。 とくに同会館は、表参道沿いの地下鉄明治神宮前駅と表参道駅の中間に位置する好立地で、隣接する神宮前小学校および旧同潤会青山アパートとの一体整備案なども検討されていた。先に同アパートの個別建て替えが決まったことから、価格入札による処分を決めた形だが、昨年実施した入札には自社ビル用地や商業ビル開発用地を使途とした複数の応札があった。 なおPTS開発は、三井住友銀行グループの資産処分および投資開発会社で、入札案件への新規投資も行っている。今回取得した健保会館については、現況建物を取り壊し除却処分を行った上で、商業ビルなどに建て替える計画とみられており、更地売却ではなく建て替え後の施設稼働によって付加価値を高めた後、第三者への転売を視野に入れている模様。その際の売却先には、上場リートなどの不動産投資ファンドも有力候補として挙がる見込み。

2002/01/10 市場・統計

中古マンションの性能は遮音性が最重要 ―国交省、消費者と流通業者に意識調査 国土交通省は消費者と住宅流通業者を対象に行った「中古住宅の性能等に関する意識調査」の結果をまとめた。消費者調査は住宅金融公庫の中古住宅購入融資利用者3000件、住宅流通業者の調査は全国宅地建物取引業協会連合会と不動産流通経営協会の会員1391社をそれぞれ対象とした。 調査結果によると、性能項目に対する消費者のニーズはマンション、戸建てとも「屋根、外壁、基礎、内装、設備等の不具合・劣化状況の程度」が最も多く、次いで「建物の劣化のしにくさ」「地盤の安全性や基礎の構造・形式」と続いている。中古マンション購入時では「隣戸や上下階などからの音の伝わりにくさ」に対するニーズが大きく、流通業者が回答した中古マンションで表示することが望ましい性能項目でも音の伝わりにくさがトップ。このほか、マンションの性能表示項目でニーズが高いのは「共用の給排水管、ガス管の維持管理のしやすさ」「火災時の避難のしやすさ」「共用部分の高齢者等の移動のしやすさ」など。 住宅の性能評価の費用負担者については、消費者、流通業者とも「売主」との回答が最も多い。マンションの共用部分の性能評価を行う際の費用負担者では、消費者は「買主と売主が共同で負担すべき」の回答が最も多く、流通業者の多くは「売主」と回答している。性能評価の費用負担額については、消費者の約6割は住み続ける場合の性能評価負担額を「10万円未満」と回答、売却時および購入時では「10万円未満」が約半数となっている。戸建てに比べてマンションの方が費用負担を低く抑えたいと考える者が多く、共用部分については「5万円未満」が約4割を占めている。流通業者が考える費用負担額は「10~20万円未満」が3割強で最も多い。

2002/01/10 市場・統計

営業マンの顧客満足度、総合評価で低 ─プレ協調べ、性能に関する知識を要求 プレハブ建築協会は9日、「営業担当者に対するお客様満足度」のアンケート調査結果をまとめた。会員メーカー12社の住宅に00年度に居住した1200人にアンケートを郵送、うち629人から回答を得た(有効回答率52・9%)。 顧客の営業担当者に対する総合評価では、100点満点換算で80点以上の割合が昨年度より5ポイント下がって84%となった。また、90~100点の割合も6ポイント下がって62%となるなど顧客の営業マンに対する評価がより厳しくなっている。信頼される営業マンの条件としては、「対応がよい」が昨年度と同じく1位だが、昨年度2位だった「人柄・マナー」が5ポイント低下して3位に落ち、代わって「知識が豊富」が2位になった。これに「企画・提案がよい」を加えた4項目間の差は縮まり、バランスのよい人材が求められている。 営業担当者に求められている知識としては、「資金計画」「使い勝手」「構造」「住宅商品」の4項目が昨年度と同様、上位を占めているが、このうち資金計画の知識が8ポイント下がった。また、4項目以外では「性能に関する知識」が7ポイント上がって27・2%を占めるなど住宅性能表示制度への顧客の関心が高まっていることがうかがえる。      

表参道の同潤会アパート再開発が決定 ―複合ビル2棟、森ビルが事業施行者 森ビルを事業施行者として団地管理組合法人が建て替える「旧同潤会青山アパート」の再開発事業および高度利用地区変更などが3月にも決定する。渋谷区がこのほど「神宮前4丁目地区第一種市街地再開発事業」の都市計画原案をまとめたもので、説明会で質問・意見などは出ておらず、公告・縦覧と都市計画審議会付議を経て原案通り決定する見通しとなった。 区が決定した同地区第一種市街地再開発事業と高度利用地区の変更内容(原案)によると、表参道から入って同アパートおよび隣接する神宮前小学校を外周する特別区道は、現行約4・5mの幅員を原宿側(635号線13m)を約6m、北東側(636号線170m)約5mに拡幅、小学校南との境界域に表参道への貫通通路を整備する。再開発する複合商業ビルは、貫通通路により隔てられた低・中層の2棟構成となり、敷地面積6100㎡、SRC(一部RC)造地下5階地上5階(一部6階)建ての構造を想定している。 建物延床面積は約3万3500㎡(容積約450%)、うち店舗面積が72%超を占める2万4300㎡、住宅は約3000㎡・38戸を予定する。また地下部分に208台収容の駐車場を設け屋上緑化も施す。今回の変更では最高容積は従来通り、新たに高さ制限を設け、建物壁面は表参道側1m、区道側1・5mセットバックする。なお同アパート(東京都渋谷区神宮前4―12―4)の建て替えは、神宮前小学校と東京電力健保会館の敷地を含めた一体整備案も検討されたが、同アパート団地管理組合法人が昨年、個別建て替え案に基づく早期着工方針を決議した。02年中の着工、04年中の竣工を目指している。

2002/01/10 企業経営

ゼファー、CM・証券化など非分譲強化 ─売上高20%まで拡大、ファンドも視野 ゼファーは、CM(コンストラクション・マネジメント)事業や不動産証券化事業など、非分譲部門を強化する。分譲マンション市況が不透明ななかで、新たな事業の柱として育て、03年度には分譲部門以外で総売上高の20%を賄う考え。 同社は首都圏で年間1500戸供給体制を目指すが、分譲マンション事業については07年度までは堅調な需要があるものの、10年後は明らかに減少すると見込んでいる。また同部門売上高は500億円が上限とみており、それ以上は他の事業が補う必要があるとみている。そのため、当初予定の2年前倒しで昨年4月にCM事業部を設立した。03年には自社分譲については超高層物件を除き100%CMで対応する計画。自社分譲の利益率を高めるほか、他デベロッパーからの受注も強化する。すでに約14億円の工事を受注しており、来期(02年12月期)は30億円以上を見込む。長期的にはCM受注を200億円規模まで拡大させる。 証券化事業については、ファンド向け供給物件の開発を具体化する。今後、不良債権再生事業に力を入れる考えで、すでに札幌の商業ビル(総投資額80億円)、赤坂のサービスアパートメント(40億円)などを取得済み。近く不動産投資顧問業認可を取得し、自らファンドを組成することも視野に入れている。 飯岡社長は「建設業界が様変わりしており、われわれが新しいコストの考えでモノづくりを始めれば皆がきっちりと儲かる。証券化もファンドは組成できるが物件がないという話が大半。デベロッパーなので物件をつくり出すのが本業だ」と話している。