地所など、3月から「東雲」1149戸 ―54・45階の2棟、最多3700万円台も 三菱地所と三菱商事、菱進都市開発の3社は、江東区の東雲キャナルコート(約16・4ha)内で来春発売する総戸数1149戸の超高層ツインマンションの名称を「Wコンフォートタワーズ」に決定した。2月9日に4タイプのモデルを用意したパビリオンをプレオープンする予定。3月中に第1期販売を開始したい考え(戸数未定)。事業比率は各3分の1。 また3社は11日、都内のホテルで物件概要と合わせてイメージキャラクター発表会を開催し、第1弾CMの試写を行ったほか、キャラクターに起用する俳優の本木雅弘氏が会見に臨み、プロジェクトの意義やコンセプトイメージなどについてコメントした。 同物件(江東区東雲1-1-3)は、地下鉄有楽町線辰巳駅徒歩6分に立地。RC造地下2階地上54階建て673戸のイースト(04年12月竣工)と地下2階地上45階建て476戸のウエスト(05年4月竣工)の構成。発表概要によると「シティ&リゾート」のコンセプトに沿って、敷地内に都市の四季をテーマとした「シティガーデン」、海とリゾートをテーマにレストハウスやビーチテラスなどから成る「リゾートヒルズ」を設け、建物内にバンケットやラウンジ、ゴルフレンジ、コンベンションルームなどを設置する。 住戸プランは専有面積58・36~194・88㎡、間取り1LDK~4LDKの70タイプ以上。最多価格帯は3700万円台(82・80~92・59㎡)と4700万円台(89・40~110・72㎡)、6000万円台(108・38~112・80㎡)を予定している。地所では正式価格について「インパクトのある(低価格)設定になる」(プロジェクト事業部)と話している。

2002/01/11 市場・統計

東京都心のオフィス空室率が上昇傾向 ─生駒データと三鬼商事の市場動向調査 東京都心のオフィスビルの平均空室率が上昇傾向にある。生駒データサービスシステムが10日発表した昨年10~12月期の23区の平均空室率は4・3%で、3カ月前の前期に比べて0・5ポイント上昇し、3期連続の上昇となった。三鬼商事が同日発表した昨年12月末時点の都心5区の平均空室率は4・03%で前月末に比べて0・16ポイント増え、3カ月連続で上昇した。これまで3%台で推移していた空室率が4%となり、先行きにやや不透明感が出てきた。 三鬼商事の調査によると、空室率の増加は、昨年秋以降に景気後退が鮮明となり、IT関連企業や外資系企業の新規進出や拡張移転の動きが鈍ったほか、リストラに伴う統廃合の動きや来年に向けた借り換え移転に伴う解約予告などが出てきたため。ただ、依然として大型新築ビルの需要は旺盛で、早くから引き合いが強まっている。今年の都心5区の新規供給量は延床面積29万8780坪で前年比3割弱増加する。このうち延床面積が1万坪を超える大規模ビルは9棟。 生駒データの調査では、全体的にテナント需要は減退傾向にあり、テナント誘致に時間を費やす傾向が鮮明になったと分析。満室稼働で竣工する大型ビルが減少、空室を残した状況で竣工している傾向にあるとし、空室在庫の増加によって今後の空室率は上昇する可能性が高いと予測している。 都心5区に立地する延床面積1万坪以上のAクラスビルの空室率は前期より0・3ポイント低下して4・3%となったものの、依然としてこれまでにない高水準を示している。

付加価値立地に特化して億ションも供給 ―今・積水東京マンション営業部長に聞く 「グランドメゾン」シリーズで全国累積、約2万5000戸・500棟の供給実績を持つ積水ハウスのマンション事業。今後は名古屋・大阪圏での事業を縮小し、首都圏での販売を強化していく方針だ。注文住宅のトップメーカーとして首都圏のマンション市場にどこまで食い込めるか。東京マンション事業部の今隆志営業部長に聞いた。 ―「グランドメゾン」の基本コンセプトは? 今氏 すべて当社の戸建て住宅商品と同じ内装材を使い、廊下・トイレの幅・奥行・天井などのサイズも戸建て住宅と同じメーター・モジュール設計とし、平均より広めにした。もっとも、これはあくまで最低基準で個々の物件やエリア、住み手の要望などに応じて付加価値をつけていく。間取りは場所や物件ごとに2LDK~4LDKの中から臨機応変に対応していきたい。 ―首都圏での供給目標について。 今氏 平均して半年で400~500戸、年間で800~1000戸を供給していきたい。関西や名古屋圏は首都圏に比べ勢いがない。首都圏にはDINKSなど住まいにこだわりを持つ高額顧客が数多くいる。年配者などが郊外の戸建て住宅から都心部のマンションに住み替える数も圧倒的に多い。 ―目標数値は、例えば大和ハウスなどと比較して少ないのではないか。 今氏 もとより戸数を競うつもりはない。目指しているのは住み手のニーズや家族形態に最適な物件づくりだ。マンションの分野でも戸建て住宅と同じく、顧客それぞれのライフスタイルに合わせて一戸一戸つくり込む「コンサルティング営業」の手法を採用していく。その意味で当社ではマンションを「集合住宅」ではなく、住宅が一戸ずつ積み重なったものとしての「住宅集合」と位置付けている。この場所ならこういう世帯の、こういう生活を想定して、間取りや面積、収納スペースなどを決める。設計段階から住み手の顔を見てつくり込んでいく注文住宅の発想をマンションの分野でも実践していきたい。 ―どんなエリアに特化して供給していくか。 今氏 価格競争に巻き込まれないような付加価値のある場所を選定して自社商品の品質の良さをアピールしていきたい。当面は東京都内の城南・城西エリアと神奈川県に特化して事業を進めていく方針だ。 ─住宅メーカーとしてのメリットをどう活かすか。 今氏 当社のマンションを「戸建て感覚のマンション」というのは正しくない。マンションはスケールメリットによって戸建てでは実現できない豪華なエントランス、広い庭、豊かな緑や外構などを共有財産として提供できる。むしろ、戸建て住宅にはないメリットを強調していきたい。今後は自然石の石積み外構や植栽など自然や街並みと調和・融合したデザインづくりに力を入れていく。全国の物件で標準化していく方針だ。 ─今後の販売予定物件について。 今氏 2月にモデルルームをオープンする予定の「グランドメゾン南青山」(一期販売分43戸)、4月1日に分譲予定の「恵比寿」(23階建て、販売戸数142戸)も平均販売価格は1億円前後になる見込みだ。いずれも付加価値のある場所を選定し、専有面積も100㎡前後と広めにとって差別化を図っている。また、01年11月に東京・稲城市で野村不動産と共同分譲した「ファーストストーリア」(地上10階建て×8棟、総戸数653戸、敷地面積4万4947㎡)のように、コンセプト面で協調できるデベロッパーとは今後も共同事業を手掛けていく方針だ。

2002/01/11 不動産金融

レーサム、百億規模の不良債権ファンド ―中小ビル私募ファンドも3百億円に拡大 レーサムリサーチは今春、100億円規模の不良債権ファンドを組成・販売する。合わせて子会社のマウンテントラスト投資顧問(山勝彦・代表取締役)を通じ、大口個人投資家向けに中小規模オフィスビルを対象とした私募によるファンドの運用も本格化する。同社は中期的にJリートへの資産売却も視野に入れており、ファンド運用の多角化を進める。 不良債権ファンドの組成はこれまで国内においてモルガンスタンレーなど外資の取り組みはあったが、国内企業としては初めて。レーサムは今後、国内金融機関がバルクセールで放出する不動産担保付きなどの不良債権を簿価ベースで1000億~1500億円程度取得する。運用期間は3~5年程度、利回りを十数パーセントの設定とし、国内の機関投資家や個人投資家から投資を募る。機関投資家の場合、1口10億円、個人投資家は同1億円とする。 一方、マウンテントラストによる中小規模のオフィスビルファンドは昨年春からスタートしている。数十億円規模の大口の個人投資家資金をもとに現在、東京都心部の7物件約120億円分を運用している。今後、東京都心5区内で新耐震設計、最低1億~50億円程度のオフィスビル物件の取得を進め、年内にも300億円程度のファンドとする。 レーサムは、各種ファンドの出口(売却)戦略として、自社組成案件を含めたJリートへの売却も想定している。

長谷工、超高速ネットマンション商品化 ―光ファイバー導入、各戸が通信速度選択 長谷工コーポレーションは、インターネットの接続専用回線として最大100Mbpsの通信速度を持つ光ファイバーをマンション内に引き込むとともに、最大1GbpsのLANケーブルを棟内に敷設する超高速インターネットマンションを商品化した。新築インターネットマンションとしては初めて各住戸ごとに利用者が希望する通信速度を選択できる方式の提案を可能にしている。 メールやホームページの閲覧などでインターネットを楽しみたい利用者向けの「スタンダードコース」(アクセス速度・~最大10Mbps、初期費用2000円、基本料金1980~2500円)、動画映像や音声通信などのブロードバンドサービスを希望する利用者向けの「スーパーコース」(~最大100Mbps、2000円、2500~3500円)を用意。利用者は希望によって自由に加入できる。 システム一式工事費は、1棟100戸以上のマンションで1住戸当たり10万円程度からという低価格に設定しており、今後デベロッパーへの採用を積極的に働きかけていく方針。

2002/01/11 政策・制度

国交省、民都通じ開発型証券化を支援 ―予算100億円、民間都市再生を促進 国土交通省は証券化スキームを使った民間の都市開発事業を推進するため、来年度から大規模な開発案件を組み込んだリートへの出資や開発型SPCなどが発行する証券の取得などにより、資金面での支援業務を行う。公的機関が民間の証券化事業に対する投資家となることで、事業の早期立ち上げや他の機関投資家と一般投資家の投資を呼び込む効果を狙う。 出資または取得するのは、証券化事業のうち民間投資家からの投資を受けにくいミドルリスク・ミドルリターンの部分(いわゆるメザニン)で、民間都市開発推進機構を通じて資金を供給する。国交省では、民間都市開発事業の立ち上げ支援を図ることによって都市再生を促進するため、民都機構による「都市再生支援業務」を来年度から創設する。予算規模は総額100億円で、このうち証券化支援業務として初年度は40億円弱を充当するほか、市中資金も調達して資金を供給する。 投資対象となるのは都市再生本部が決定する「緊急都市再生地域」で事業化するプロジェクト。民間事業者が収益施設と公共施設を一体的に整備するプロジェクトとして認定された事業費用のうち、一定の範囲内に限定して資金供給する。 民都機構による都市再生支援業務ではこのほか、民間が都市再生事業と一体的に一定の公共施設を整備する場合に無利子貸付を行う。また、事業に対する融資で民間金融機関の保証を受けにくいものについて、民都機構内に基金を設置して債務保証する。来年度は40億円強を基金として積立てる。

2002/01/11 市場・統計

港区・渋谷区の一部でわずかに地価上昇 ―MRD調べ、新宿駅25㎞圏内では横ばい MRDが行った2001年12月1日時点の大都市圏の住宅地価格調査によると、首都圏の年間変動率は△5・7%で下落幅は前年より0・2ポイント縮小した。東京都心部の港区や渋谷区の一部などでは都心回帰現象の進行や地下鉄網整備による交通の利便性向上などにより前回調査時からわずかに地価が上昇した。東京都区部で地価が上昇したのは90年の調査時以来、11年ぶりのこととなる。 首都圏の年間変動率を都県別にみると、東京都が△4・4%(前年△5・2%)、神奈川県が△4・7%(△4・4%)、埼玉県が△5・5%(△6・2%)、千葉県が△8・2%(△7・8%)、茨城県が△6・4%(△6・0%)となっている。都心部以外では新線や新駅が開業した鳩ヶ谷市、川口市、駅周辺の再開発が進む立川、横浜、さいたま、浦安の各市の一部などでも地価は下降せず前年並みの水準を保った。これらの地域はいずれも新宿駅から25㎞圏内で、交通網や商業施設などの利便性が向上したという共通点がある。一方、需要が減退している遠隔地や最寄駅からバス利用となる地域では下落幅が10%を超えており、住環境の優劣による2極化が一層進んだ。 今後1年間の首都圏の地価見通しについては、「下がる」の回答が前年の43・5%から69・9%に増え、「横ばい」が前年の52・1%から29・7%まで落ち込んだ。「上がる」は前年の4・4%から0・4%まで後退し先安感が一層強まっている。なお、首都圏以外の大都市圏における年間変動率は、近畿圏が△9・7%(前年△7・4%)、中京圏が△6・3%(△4・6%)、福岡・北九州圏が△5・5%(△3・3%)となっている。