2002/05/17 市場・統計

01年度不動産証券化総額は6割増3兆円 ―国交省調べ、ビル65%・商業施設11% 国土交通省がまとめた「不動産の証券化実態調査」によると、2001年度に実施された不動産証券化の対象となった不動産または信託受益権の額は2兆9660億円と3兆円規模に達し、Jリートが3銘柄上場されたことなどから、前年度に比べて58・9%増加した。件数は36・8%増の219件。01年度末までの資産額の累計は6兆4000億円となった。 証券化の対象となった不動産の用途を資産額ベースでみると、01年度はオフィスが65・1%で最も割合が高く、商業施設が11・4%、住宅が6・2%と続いており、これらで全体の約8割を占めた。前年度に比べてオフィスの割合は25・1ポイント増加した。商業施設の割合は前年度の30・3%から18・9ポイントダウン、住宅は2・7ポイント減少した。 オフィスの割合が高くなったのは、不動産投資ファンドでオフィスを中心とした投資が行われたことと、企業が財務体質の改善のために所有ビルを証券化する動きが活発だったため。 上場したJリートの発行投資口数は3銘柄合計で約49万口、今年3月末時点の時価は約2600億円となっている。不動産投資ファンド全体の実績をみると、取得した不動産または信託受益権の額は6000億円。資産額ベースでみた不動産の用途はオフィスが86・2%、商業施設が9・9%などとなっている。 開発中の物件を証券化・流動化することで調達した資金をその物件の開発事業費に充当する「開発型の証券化」については、01年度は23件・1800億円の実績があった。

2002/05/17 団体動向

配当申告不要の5万円限度額引き上げを ―シンジ協、証券化税制の基本的考え方 不動産シンジケーション協議会はこのほど、今後の税制要望の基本となる「不動産証券化のあるべき税制に関する基本的な考え方」を策定した。今後、これをベースに税制改正要望事項の取りまとめを進める。 考え方では「不動産証券化の意義」「市場の現状」「あるべき税制に関する基本的考え方」をまとめ、合わせて現在の主要な論点を5つ示している。基本的考えは、①不動産証券化の円滑な組成・運用を可能とする税制の実現②投資家にとって簡便で分かり易い税制の実現③不動産証券化市場の早期拡大に資する税制の実現―の3点に集約、運営・投資家・市場拡大の側面からのアプローチを確認した。 5つの論点では「Jリートストラクチャーの安定性」「出資の払戻しに対する課税」「Jリートの配当課税」「不動産流通税」「不動産譲渡益課税」のテーマを抽出。投資法人の課税所得と会計上の利益が一致しないため、導管性を否認され得る局面で追徴課税とならない宥恕(ゆうじょ)規定措置の検討や損金参入要件の計算式自体の改善をはじめ、出資の払戻しを実施可能にする投資家税制、現行5万円の配当申告不要制度の限度額引き上げ、オリジネーターに対する譲渡益課税の繰延措置の検討を挙げている。 同協議会では、98年のSPC法制定以降、法制度および市場整備が進む中「税制面については十分な対応がなされていない」としており、今後は資産デフレからの脱却、経済再生には不動産証券化市場の活性化が重要との認識の下、今回の考え方を念頭に税務当局による税制議論に積極参画していく方針。

2002/05/17 政策・制度

都市再生法、1カ月前倒し6月施行へ ―東京・大阪中心部で緊急整備地域を指定 今国会で成立した「都市再生特別措置法」(都市再生法)が早ければ6月1日から施行される見通しだ。このほど施行に伴う施行令案を制定し、パブリックコメントの手続きを開始した。今月24日まで受け付ける意見の募集状況によって、施行日を最短で6月1日とする。 都市再生法は4月5日に公布され、公布から3カ月以内に施行することとなっているが、ほぼ1カ月前倒しの施行となる異例の早さ。同法は小泉内閣の重要課題である都市再生のための政策手段であり、景気回復の観点からも期待されている。昨年5月に閣議決定された都市再生本部(本部長=小泉首相)は同法によって内閣に設置することが決まり、今後は全閣僚がメンバーとなる。 都市再生本部は、同法の施行とほぼ同時期に「都市再生緊急整備地域」を指定する方針。緊急整備地域の指定は、民間事業者による都市再生事業を促進するための措置で、都市計画の特例として、地域内では、既存の用途地域などに基づく規制をすべて適用除外とする都市再生特別地区を定めたり、都市計画の提案制度や事業認可を短期間に行う特例を設ける。 緊急整備地域の指定については「具体的な基準を各自治体の意向を聞きながら詰めているが、第1弾はシンボリックな地域を指定することになるため、東京と大阪の中心部を考えている。昨年、民間事業者から提案された都市再生プロジェクトをにらみながら決めたい」(都市再生本部事務局)としている。基本的には「自治体との調整がつけば、順次指定していく」(同)ことになる。

2002/05/17 企業経営

大京、07年3月期に有利子負債3分の1 ―社員1500名以下、長谷川社長は続投 大京は15日明らかにした第2次経営計画では、02年3月末で1兆670億円に膨らむ連結有利子負債を圧縮するため、UFJ銀行など主力4銀行から4700億円の金融支援を受け、採算性の低い固定資産や関係会社を整理し、07年3月期までに有利子負債を約3分の1の3700億円まで圧縮、マンション事業に経営資源を集中する。 有利子負債の8割以上がバブル期に取得した賃貸ビルやゴルフ場など収益性の低い資産によるもので、今年中に2つの子会社へ時価で売却、賃貸マンションなど住居系資産を「大京レンタル」に、オフィスビルや商業施設は「大京エステート」に移し、その後外部への売却を探り証券化も進める。 第2次経営計画では、ROA(総資産営業利益率)の改善を主目標とするため、02年3月期で固定資産評価損、国内外の関係会社の整理に伴う処理損など計4738億円の特別損失を計上、3850億円の連結最終赤字となる。これに伴い、UFJ銀行など主要4銀行へ4100億円の債務免除と、債務の株式化600億円の計4700億円を要請する。また株主責任を明確化し、財務体質の改善を図るため、資本金の半分にあたる350億円を減資。あわせて国土交通省に産業活力再生特別措置法の適用も申請する。 リストラもさらに進め、取締役は23名から10名以下、社員数も間接部門の合理化で1700名から1500名以下に減らす。経営責任について長谷川社長は「経営難はバブル期の負債が原因。前オーナーを含め、97~98年に旧経営陣が退陣しており、この時決着している」と述べ、続投する考えを示した。

2002/05/17 市場・統計

01年定期借地住宅、7%減の5099戸 ―普及協調べ、購入費は戸建てで4%下落 定期借地権普及促進協議会は16日、01年の「全国定期借地権付き住宅の供給実績調査」の結果をまとめた。それによると、供給戸数は、対前年比では7・1%減少したものの、3年連続の5000戸台となる5099戸だった。購入当初に必要な保証金と住宅価格の合計は、戸建て住宅の場合、対前年比4・7%下落して3002万円、周辺の通常の住宅価格と比べ37%安かった。 定期借地住宅の年間供給は、96年にいったん5022戸と5000戸台を突破したが、その後、3000~4000戸台に減少、99年に5194戸と再び5000戸台となり、00年が5486戸、01年も5000戸台を維持した。01年供給の地域区分は、首都圏が全体の40・7%で2076戸、近畿圏は25・3%で1289戸、中部圏は11・3%で576戸、その他の地域が22・7%で1158戸だった。種別では、戸建てが58・3%に当たる2973戸で、マンションは残りの41・7%、2126戸だった。01年にはこれまで供給実績のなかった鹿児島県と島根県で供給が確認され、その結果、全国47都道府県の全てで定期借地住宅が供給されたことになった。 01年供給の戸建て住宅についてみると、平均の敷地面積は対前年比10㎡増加の243㎡、延床面積は同8㎡減少の129㎡。購入当初のコストは保証金が669万円、月額地代が2・5万円、住宅価格が2333万円となったため、全体で4・7%下落の3002万円となり、所有権住宅との乖離率は37%となった。