南青山都営住宅建替え、都市再生認定へ ―図書館など公共施設整備に無利子融資 三井不動産を幹事会社として推進する「南青山一丁目団地建替プロジェクト」はこのほど、都市再生特別措置法に基く「民間都市再生事業計画」の大臣認定を国土交通省に申請した。年内にも都市再生事業第1号として、国土交通大臣の認定を受ける見通し。 都市再生法は今年6月に施行され、指定緊急整備地域内の開発事業に対して都市計画提案や認可特例を認めたほか、大臣認定を受けた都市再生事業には、民間都市開発機構からの公共施設等整備資金の無利子貸し付けや出資方式による資金調達を認めた。同プロジェクトの場合は、完成後に港区が建物を買い取る図書館や保育園などの公益施設整備が融資対象になる。 同プロジェクトは、東京都住宅局による都営住宅の建て替え事業で、今年5月、三井不を幹事会社とするグループ「青山Daysクリエーターズ」が事業者に決定し、10月10日付で東京都および港区と基本協定を締結した。計画地(東京都港区南青山1-3)は敷地面積約6784㎡、地下鉄南青山一丁目駅から徒歩1分に立地し、三井不などは、東京都から70年間の定期借地契約の上、14階建ての南棟(都営住宅150戸、保育園、グループホーム)と46階建ての北棟(図書館、賃貸住宅327戸、商業・業務施設など)を建設する。03年度の着工、06年度の竣工予定。なお、都営住宅150戸は完成後に東京都が買い取る。 プロジェクトの事業参画者は三井不と大成建設、伊藤忠商事、ユージー都市建築、三井不動産住宅リース、三井不動産住宅サービスの6社で、三井不と大成建設、伊藤忠商事が出資設立した特別目的会社「南青山アパートメント㈱」が建て替え事業を推進する。

2002/11/12 政策・制度

国交省、土地税制で1兆円の減税要望 ―固定3千億円、流通税5800億円など 国土交通省は来年度税制改正で、土地税制については総額約1兆円規模の減税額を要望する方向で最終調整に入った。土地税制の見直しは、政府の総合デフレ対策で税制改革の推進および資産デフレの克服としても必要性が明確に位置づけられていることから、最高で2・5兆円程度の規模を求める声が上がっている先行減税の目玉の一つとして、土地税制の抜本的な改正を強力に求める考え。 土地税制の具体的な改正要望は、まず来年度に評価替えが実施される固定資産税について、商業地の負担水準の上限を現行の70%から55%に引き下げることを求める。流通課税については、登録免許税と不動産取得税の各税率を現行の2分の1に軽減するとともに、土地に係る課税標準の特例措置(登免税3分の1、不取税2分の1)を延長することを要望。特別土地保有税と新増設に係る事業所税は廃止を要求する。 譲渡益課税に関しては、個人の土地長期譲渡所得に係る税率(一般税率)を現行の26%から20%に引き下げることを要望するほか、法人の土地長期譲渡所得に対する5%の重課措置と、土地短期譲渡所得に対する10%の重課措置の廃止を求める。また、個人が優良住宅地の造成のために土地を譲渡した場合の課税の特例(軽減税率)を現行の4000万円以下20%・4000万円超26%から、6000万円以下14%・6000万円超20%に引き下げることを要望する。 これらが実現すれば土地関連税制の減税額は、固定資産税が約3000億円、流通課税が約5800億円、特土地税が約425億円、事業所税が346億円となり、合計で1兆円程度の減税規模となる。譲渡益課税については、現状では年間の税収が1500億~2000億円程度であり、税率が軽減することによって取引量が増加すれば税収が増加するケースもあるため、減税額は未確定。 来年度税制改正のもう一つの焦点である住宅税制については、住宅取得資金の贈与に係る贈与税の非課税限度額を3年間の時限措置として、現行550万円から3000万円に大幅に拡充することと、所得要件の撤廃を求める。 不動産証券化税制では、Jリートの配当課税について株式とイコールフッティングの措置として、個人配当課税の申告不要の上限の撤廃と、基本税率が20%の源泉徴収の税率を10年間10%とすることを要望するほか、投資法人とSPCが取得する不動産に係る流通課税の特例措置の延長と拡充を要求する。 都市再生関係税制としては、都市再生特別措置法に基づく都市再生緊急整備地域内での特例措置、都市再生促進税制の創設を求める。具体的には、流通課税、特土地税、事業所税の非課税と譲渡所得課税の100%繰り延べ、固定資産税の5年間2分の1軽減など。

2002/11/12 団体動向

全国9地区公取協、連合会組織を設立 ─ネット広告適正化などで体制を強化 全国9地区の不動産公正取引協議会は、インターネットの普及などにより、多様化した不動産広告の適正化を組織体制の面から強化するため、「不動産公正取引協議会連合会」を設立した。連合会会長には、田中順一郎・首都圏不動産公正取引協議会会長が選任された。 連合会は、インターネットによる不動産広告の適正化に対応し、受け皿としての役割を担うとともに、公正競争規約の統一的運用に関するより一層の連携強化や、規約・規則の改正に向け事務的効率化を図る。これまで全国9地区の公取協は、全国連絡会を実施していたが、運営体制を強化するため、全国組織に格上げした。連合会は任意団体で、規約の運営機関としての位置付け。 今後の事業計画は、①規約の統一的かつ効率的な運用を図る観点から、公正競争規約を一本化するため、新たに表示・景品両規約、施行規則を制定する②規約の運営体制の整備に必要な協力を行う③規約の解釈、措置の基準の明確化や規約の周知徹底、インターネット広告の適正化などに努める─などで、総会で承認を受けた。 役員人事は田中会長の下、副会長に石井正勝・首都圏公取協副会長のほか、安田弘・北海道公取協会長など各地区公取協の会長が就き、計9名。常務理事には南勝・首都圏公取協専務理事が就任した。役員任期はそれぞれ2年。なお、連合会の事務所は東京・九段北の首都圏公取協内に置く。

2002/11/12 市場・統計

首都圏戸建て団地、上半期戸数は15%減 ―細田工調べ、小規模物件の供給にも陰り 細田工務店はこのほど、4~9月の「首都圏の戸建て分譲団地供給動向」の調査結果をまとめた。物件数は231件(前年同期比6・1%減)・2311戸(15・3%減)と減少傾向が止まらない。郊外立地の大型継続団地の低迷に加え、シェアが増加しつつある小規模物件も供給に陰りが出てきたため。平均価格は土地・建物の狭小化も手伝って5061万円と、さらに弱含みの傾向にある。 供給戸数を都県別に見ると、東京都896戸(15・8%減)、神奈川県519戸(6・5%減)、千葉県505戸(27・9%減)。東京のシェアは39%と最も高いが、戸数は1000戸を下回った。平均面積は土地41・60坪(2・0%減)、建物32・03坪(2・7%減)といずれも縮小。面積別で見ると土地は30~35坪が656戸(11・0%増)と最も多い。建物面積のピークは28~30坪で513戸(41・3%増)。狭小化が著しく、特に23区内は29・18坪と30坪を切った。 1回当たりの供給戸数が減少したのも今回の調査の特徴。4戸以下が71件(54・3%増)と大きく伸びた。10戸未満のシェアだけで60・6%を占めた。 平均価格は5061万円(0・9%減)と微減。ピークは4000万円台に変わりないが、6000万円台が281戸(32・5%減)まで落ちた。 期末在庫は981戸(26・0%減)。02年に入り、新規物件の供給抑制効果が現れ、繰越物件を中心に減少傾向。新規物件を除いて6カ月以上の在庫が前年同期に比べて減少しており、状況は好転している。先き行きについて調査では「近隣ニーズを的確につかんだ商品企画が、需要の掘り起こしの鍵」としている。